人間経験がすべて、とは言い過ぎかもしれないが、やはり経験は力である。だからお産を経験された方であれば、次回のお産においては、その前回のお産を参考にする。また、外来にお越しになった方々においては、その既往の病気(疾患)は大変貴重な情報であり、その点をおろそかにすれば、とんでもないことになる。

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ただし、一人目のお産がとんでもない経験であると、次回お産への恐怖感が先行し、その結果次回妊娠に踏み切れないという方も時々いらっしゃるわけで・・・。当院のお産でもそうしたことがないように、と努めているけれど、時には予想外のことが起こることもある。また私たちスタッフにはどってことなくても、お産の当事者であるお母様方には大変な思いであった、というようなギャップの存在することもあるわけで・・・。

個人的に、現代の少子高齢化の日本において、出産を経験する機会は減少しつつあるわけであるから、その貴重な機会が、少しでもその当事者であるお産を経験するお母様とその家族にとっていい経験となることを願っている。

なので、不安と恐怖ばかりのお産はできれば避けたい事態であり、仮にそうなったとしたら、できればその不安と恐怖を少しでも取り除いて、次回への期待を抱いて、退院してほしいなと願い、努める所存である。

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一方初産の方であれば、これはまずは経験していただくしかないかな、と。身近な人からの話、本や雑誌で得られる情報、そしてネットで得られる情報とさまざまな情報が錯綜することであろう。お腹はおおきくなっても、いっこうに生まれる兆候がなければ、不安が胸をよぎるかもしれない。お腹は大きくなり、体重も予想以上に増えても、まだ生まれない。

また出産までの情報で、お産は大変痛いと聞くかもしれない。会陰切開があるかもしれない、縫合があるかもしれない、抜糸も痛い、帝王切開にはなりたくない・・・・と様々な思いが交錯するかもしれない。人間、時間があればいろいろなことを考えることであろうし、そうした際にスマホで検索すれば、という事態も予想される。

そう思っていたら、ようやくお腹が痛くなった。よしこれは陣痛だと、思ってクリニックを受診すると、まだまだです、といわれる。初めてのお産でわからないし、不安も多いけれど、まだまだといわれれば、帰らざるを得ない。仕方がない、と。

産科医の立場からすれば、やはりそこそこ痛くなって子宮口が開いてこないと、とてもお産に進むとは思えない。要は、お産になりそうな陣痛が来るまでの間を如何に過ごすかということである。本当の陣痛がいつからか、それは誰にもわからない。本当の陣痛が来るまでの間を、あまり深く考えずに不断の日常生活を続けて、お産のことを頭から切り離せるのが理想であると思っているけれど、やはり痛みが不規則にあるとなかなかそこは難しい。

私個人としては、笑顔が出て普通に会話ができる間はまだまだです、と話している。陣痛が来た時に、痛みで顔が歪み、しゃべらないくらいになったら、痛みはほんまものかな、と。できればその時点で、外子宮口が数センチでも開いていればOK。逆にいえば、その時点でもまだ子宮口が開いていないならまだまだなので、まだまだ痛みが足りません、と説明せざるを得ない。

単純にいえばこれで終わりであるけれど、そこに医療安全の観点からすると、分娩監視装置の装着、各種検査(超音波、血液検査、培養検査)などの検査所見が加味されることになる。

種々のリスクがあれば、それを想定したうえでの入院対応となる。入院してからの話はまた明日以降に。

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写真は、院内のバラのつぼみ。12月ともなりそろそろ霜でつぼみも枯れるかな、とおもっているけれど、せっかくのつぼみだし咲かせてあげたいけれど、そのためには暖かい環境に移さない限り不可であり、どうするか、と。


当院では、臨月までの後期の両親学級を受講することが、当院で出産するための必要条件である。当院で二人目以降の出産の方は、既に過去に受講しているので、両親学級時に渡す資料のみ渡している。で、その資料の中に、バースプランなるもののがある。

要は、分娩に対してどのようにお母様が考えているか、分娩への期待、不安その他を伺うものである。当院スタッフが分娩前に伺い、お産に対する参考にというものである。

すみからすみまで、訂正分も含めて、一生けんめい書かれた用紙もあれば、その部分だけ白紙の場合もある。これは別に強制ではないし、どのように皆様が考えているか、を自由に表現すればいいので、お産に対するまだ用意ができていない、あるいは漠然たるものであれば白紙であっても、と思う。

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二人目以降の出産であれば、やはりそこには一人目のお産の時の影響が色濃く反映されるわけで、やはり一人目のお産が強烈なものであれば、お産への不安・恐怖もうかがえる場合がある。一人目の出産の結果として、次は絶対無痛分娩でという想いも十分に理解できる。

正直言うと、外来での問診において、既往のお産の経験を伺うことは大切であるけれど、初回の診察時に、どこまでそのお産の経験のことが尋ねられるかといえば、時間の問題、ファーストコンタクトという状況、などのから通り一遍の質問しかできない。

で、臨月が近づいてきて、バースプランで、既往のお産のことをよくお訊ねする、という形となっている。で、その時にとんでもない事実が判明しないでもないが、でも、まそれもお産である。

一方、一人目の出産であれば、漠然たる状態である。当然痛いとか、時間がかかる、とか聞いても、やはり経験がない以上なかなか想像が難しいことであろう。仮に親類のお産に立ち会ったとしても、やはり当事者と傍観者では違いが生じる。こればっかりは、経験してみないと、何とも言えない世界である。

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実際のお産の場では、初産であっても、つるっと生まれた人もいれば、二日三日かかって、無痛にして、ようやく生まれた、あるいは帝王切開となった、さらに搬送された、という人もいるかもしれない。また一人目が大変であったけれど、二人目は意外と安産という人もいれば、二人目もやはり大変という場合もあるかもしれない。

こればっかりは、どうなるか、なかなか予想は難しい。100%の母児ともに安産が望ましいけれど、なにかがおこるかもしれないし、怒ら習いかもしれない。また起こったとしても、私にとっては想定内であっても、お母様にとっては想定外という事態もあるかもしれない。

何かが起こるかもしれないし、おこらないかもしれない、それがお産であり、日常でもある。ま、そうした思いをこれから少しばかり、シリーズで述べてみようかと思う。


写真は、玄関わきの白梅。葉っぱが落ちて、つぼみが目立ってきた。

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玄関わき(国体通りからの)の樹木には、鳩の巣が残っていた。

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先週の水曜日、窓ガラス磨きを行いました。当院の窓ガラスは、南側の国体通りの窓ガラスは面積も広く、高さもあり、素人には到底不可能です。なので、専門の方に、専門の車を用意してもらって行います。

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ついでに、建物の隅にあるクモの巣も払ってもらって・・・と。

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おかげできれいになりました。

ちなみに、現在建物の白く塗装されている部分には、光触媒が含まれているので、少し汚れても、雨が降って日が出れば、少しきれいになります。でも、窓ガラスは清掃を行なわないかぎりそのままなので・・・。

南側だけでなく、西も東も、そして北側もきれいにしてもらいました。ただ、面積がひろく、すべてを1日でこなすことは不可能でしたので、残り(1階部分)は日を改めて、という予定です。

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さて、今日は晴れるといいな、と。

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