世の中、無料クーポン券流行であり、巷にはそうしたクーポン券を手に入れる機会も多いと思う。新聞広告、メール、各種の無料誌、・・・と。

産婦人科においても、お役所の発行する無料クーポン券が発行された時には、びっくりした。子宮頸がんを対象とした子宮がん検診に対して数年前から発行された。理論上は、一通りの年代(対象となる年代は、若年者の世代に限られていたが)に発行が済んだので、受け取っていない人はいないはずであるが、受け取るということと、実際にその券を使うということは別問題である。ということで、その券が使われたことが確認されていない人に対して、再度発行された、と聞いたような気がする。

その子宮頸がんのクーポン券の有効期限は、2月28日までである。ということで、ここ数日そうしたクーポン券を持参して産婦人科を受診される方も多い。昨日は10名以上はお越しになったようで・・・・・。

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さて、ここで子宮がん検診ということに関して一つ。健診にしても、検診にしても、これらは基本的には自由診療の一環である。つまり、病気ではなくて、子宮がん(厳密にいえば頸癌)があるかどうかを目的として調べる検査である、ということである。

平成19年5月に当院は開院し、保険診療を6月から開始した。保険診療に関する元締めは厚生局であり、開業後に数回にわたり、九州厚生局から温かいご指導をいただいた。なかでも、自由診療と保険診療の区別、診療録の記載、適正な保険請求については再三のご注意をいただいた。

私としては不正請求をしたつもりは一切ないが、指導する側からすれば当然指摘すべき事項であり、かつ不適切な診療と認められる、ということで結果として返金せざるを得ないと判断される。こうしたせめぎあいは、月々の保険請求でも生じていることであり、その結果として当院が適正な保険診療として請求した事項に対して、全額の支払いは認めない、ということになるのである。

というような戦いを述べることは、ここでの主旨ではないが、ま、こうしたことが背景にあるというにご理解いただきたい。そのような暖かい指導もあり、当院としては指導に従い、適切な医療を順守するのであるが、そうするとそこに患者様との間に軋轢が生じることとなる。

まず、当院にお越しいただいて、無料クーポン券を使うということは、実は子宮頸がんの検査を行うということである。リスクが高ければ、子宮体がんの検査も併せて行うことができる。しかし、それ以上ではない。かつこれは自由診療であるというところがポイントである。

産婦人科に来たのだから、ついでにという心情も十分に理解できる。ついでにという項目が自由診療であれば何も問題はない。ピルの処方とか、避妊に関する相談とか、妊婦健診とか、緊急避妊であれば、そうした項目に関しての費用を自由診療で負担いただくという原則を守っていただければ、何も問題はない。

しかし、そこでついでに卵巣腫瘍や子宮筋腫の検査をということになると、まずここで問題一つ。本来のクーポン券には、そうした検査は含まれていないのであるから、これは別問題である。しかしそこで目くじらを立てても仕方ないし、あくまでも患者サービスの一環として超音波の検査を当院では行っている。その結果として、何かが見つかってほしくないのであるが、見つかる場合もある。見つかったとすると、話がややこしくなる。

なぜなら、超音波検査は本来の検査に含まれていないので、当院からのサービス(無料奉仕)であるが、見つかって、紹介状を書くとなるとそうはいかない。適切な施設に、適切な紹介状を書く、ということは保険診療という医療行為である。本来自由診療に、保険診療を同時行ってはならない、という厚生局からの通達があるので、厳密にいえば、その紹介状は自費で負担いただくか、病気が見つかった時点で保険診療に切り替えるか、ということになる。

保険診療に同意いただければ、保険診療を行うこととなり、保険診療分の医療費の負担が発生する。そこで、お越しになった方は”あれ?、無料のはず”と思っているので、ささやかなトラブルが生じることとなる。こうしたシステムをもともとご理解いただいている方であれば、何も問題はないが、大方の人はそうは思っていないので、その説明(混合診療、自由診療云々)の話を、診療の片手間に披露するということになる。

そうなると、結果として予想以上に時間がかかり、外来の診療時間が割を食うこととなる。私としては好意でしたことであるが、その好意が結果としてあだとなる。そしてその説明を十分にしてご理解いただかないと、不適切な行為と誤解される。

では、そうした行為をしなければいいのであるが、他所では超音波検査をしてもらった、とか、最初からそうしたことをあてにしてお越しいただいた方々に、一から説明していては、時間ばかりかかって仕方がない。ということで、結局あくまでもサービスの一環として超音波検査をして、異常がないことを願うばかりである。

こうした自由診療に関してはほかにもいくつかの陥りやすいトラブルがある。しかし、ここまで十分長くなったので、次回に。今日は無料クーポン券に伴う、超音波検査に対する私の見解ということで。

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写真は、梅一輪。梅はやはり一輪、ひっそり咲いているほうが風情があっていいよな、と。前川珈琲店、改装が進んでいます。昨日は夜灯がついて、内部もすこしうかがえました。いつオープンかな、と。