現在の無痛分娩は、硬膜外麻酔による麻酔併用の分娩である、と私は理解している。施設によっては、和痛分娩と表示されたり、静脈麻酔を使用したり、脊椎麻酔を使用している施設もあるようであるが、当院においては、基本的に硬膜外麻酔である。

その適応、手技、維持方法、合併症、利点と欠点と、書くことは考えてみたらいっぱいある(これで当面の各ネタには困らないが・・・)。それを1回で表現することはとても不可能である。また、開院当初の無痛分娩と、その後の経験と世の中の流れにより変更した部分もある。変更するにはそれなりの理由もあるわけで・・・・。

誤解の無いようにここで書いておくが、私は無痛分娩が常にベストと思っているわけではない。しかし、状態によっては、無痛分娩にしないとお産ができそうにない人がいる。これはとても無理だろうな、と思うような人がつるっと埋めるとしたら、それはやはり無痛分娩しかないような気もする。

つまり痛みと不安が取り除かれて、落ち着いて対応できるようになり、そこそこの体力があれば、大体の人はお産ができるのではないか、と思っている。そのための選択肢として無痛分娩という方法がある、ということである。その条件が満たせない人であれば、麻酔効果で時間を稼いで状態を整えて、ということである。ただし、その前提は赤ちゃんが元気である、ということである。

時に普通分娩で、痛い痛いと叫びながらお産をされる方もいる。それはそれで仕方がないのであるが、問題は、叫んでいるうちに、ご本人様も、家族も気持ちがさらに昂り、別世界に到達される方がいるということである。こうなると、平常の世界に引き戻すのが大変である。その世界にどっぷりつかりたいかもしれないが、そうなるとお産は進まない。というか、こちらかの指示が相手に伝わらない。これは非常に困る。

叫んでいるうちに、自己陶酔の世界に入るというわけではないが・・・。ただ叫びだすと歯止めが効かなくなってしまう。ということで、個人的には痛くてもこらえるほうがいいと思うけれども、お産の痛みはその想定以上なのでどうしても・・・。

もう一つ困るのは、そうやって叫んでいる状態が続くと、周りにも伝わる。家族もそうであるし、お産を対応するスタッフにも。実際声が届かないので、大きな声を出すということになる。何後も大切なのは、平常心であり、対応するスタッフが(これは私も含めて)心が高ぶると、余計な問題が生じることもある。落ち着いて、普段通りにいつものことをする、というのがいかに大切であるか、ということである。

だから、お産の時でも落ち着いている平常心の方には無痛分娩は不要である。

さて、ここまでがイントロで、次回から各論にはいっていこう。

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今日は雨、赤の芍薬ももうそろそろ盛りを過ぎつつある。そしてこの雨で折れてしまうことであろう。次は百合かな・・・。