過去10年の当院の出産を振り返ってみるのであれば、当院での無痛分娩を説明しなくてはならない。



以前のグラフに、無痛分娩総数を加えたものである。

グラフにわかるように、当院は開院当初より無痛分娩を行い、2010年ごろに、総出産の約6割が無痛、2割が帝王切開で、残り2割が自然分娩であった。そして無痛分娩に対する見直しを行い、以後は、総分娩の約4割が無痛分娩、2割が帝王切開、残り4割が自然分娩となり、その後その傾向が続いている。

なぜこのように変遷したか、それは前回の話(病床数と増築)の話も絡んでいる。

当院は、新規の有床診療所を開設した。(私の父は熊本市内で有床診療所を開設していたが、そことは全く別に開院した)。新規の有床診療所を、極めて有名な施設のある熊本市に開設するためには、それなりの対策が必要である。そのための対策として、立地、建物、サービス、医療などにおいて既存の施設との明確な独自性を保つことが必要であると私なりに考えた。

開院する前に、福岡の施設で5年ほど勤務し、当時その施設で無痛分娩を取り扱い、好評であった。そのため開院当初から無痛分娩を積極的に打ち出すことにした。当院の場合、開院当初から私の万年当直であったので、無痛分娩は希望があれば、いつでも引き受けていた。日曜祭日、夜間でもOKであった。

ただし、お産が増えてくると私の夜間の睡眠の問題が発生したので、深夜帯に院長が起こされて無痛の処置を行う場合には、通常の無痛分娩に加えて、夜間加算料金とさせていただいた。

開業当初スタッフが少なかったことと、当院の独自色という戦略もあり、無痛分娩は計画出産とコンビで行うことが多かった。(ここで、無痛分娩と計画出産の説明が必要であることに気が付いた。この話は、次回に回すことにして、総論をすすめます)

分娩数が少ない間は、計画出産中心でよかったのであるが、分娩数が増えてくると困った事態に気が付いた。簡単いえば、計画出産は予定通りにいかないという事実であった。生まれるという前提で計画していても、生まれなかった場合どうするか、ということである。帝王切開にするなら話は簡単であるが、そうなると帝王切開の頻度が増える。できれば下から生まれてほしい、と私は思うし、妊婦様も望むのである。

そこで、自然陣痛が来た時に、希望する人に間に合えば、無痛分娩にするほうがいい、という私なりの結論に達した。その方針に2011年ごろに移行した。その結果、二階の分娩待機室の慢性的満床状態からも解放された。(じつは増築を意識したのは、この計画出産にともない生じた分娩待機室の不足が契機であった)

この様なスタイルで現在にいたる。次回は無痛分娩と計画出産、実際の無痛分娩などについて順次説明していくつもりである。


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連休はあまり天気が良くなかった。日曜の午後から晴れてきた。裏の田んぼも稲穂が黄色くなってきた。空にはイワシ雲であろうか。