当院での無痛分娩および帝王切開における麻酔の基本的手技は硬膜外麻酔である。開業当初は、帝王切開は腰椎麻酔を併用していたこともあるが、現在は硬膜外麻酔のみで行っている。また、施設によっては無痛分娩のために2か所の硬膜外麻酔を行っているところもあるが、当院では1か所の穿刺のみで行っている。

ということで、年間に無痛分娩のためと帝王切開のために硬膜外穿刺を約300回程度行っていることになる。主に穿刺する人は私(院長)であり、どうしても手技的に困難な場合や、手術やお産が並行している場合などに麻酔科医に依頼している。その頻度は10%以下と思うので、おおよそ270回くらいは私が穿刺している。年に270回で、10年とすれば、最低でも2500回くらいは穿刺していることであろうから、十分な数をこなしていると思う。

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さて、私がそれだけの数をこなすということは、当院のスタッフもそれなりの経験を積むことになる。硬膜外穿刺に際して用意するもの、穿刺時の介助の姿勢、穿刺後の薬剤注入、薬剤による副作用など、基本的には私の下でスタッフが経験を積むことで、こうした硬膜外麻酔が安全に施行されると思っている。(私一人で安全にできるはずもなく、これはスタッフの支えがあって初めて可能なことである)

穿刺する場所は、基本的に腰椎のL3とL4の間を狙うけれど、時にはL2とL3の間であったり、L4とL5の間であることもある。これは様々な条件によりより変動する。

穿刺する針は、八光社の18G針の外套を用いている。17Gを用いる施設も多いと聞くが、私の場合より少しでも合併症の少ないことを期待して、細い針を使うこととしている。穿刺後にそこに硬膜外チューブを留置して、固定して、仰向けにして、テスト開始である。

薬剤は、商品名アナペインの0.75%を利用している。帝王切開の場合には、そのままの濃度で、無痛分娩の場合には2倍/3倍/4倍に希釈して用いている。施設によってはキシロカインやマーカインを用いたり、エピネフリンを添加したり、フェンタネストを併用したりとあるかもしれないが、当院ではアナペインのみである。

薬剤は持続注入ではなくて、その都度追加するという方式である。つまり痛くなってから、追加するということであるが、帝王切開においては痛くなってから追加すると面倒なことになるので、帝王切開においては時間を考慮しながらの追加となる。

できるだけ手技は簡単に、そしてスタッフと認識を共用化すること心がけている。幸い、これまでの間にこの硬膜外麻酔で大きな合併症は起きていない。これまでも起きていないから、今後もない、とは断言できないけれど、今後も合併症の怒らないように、努めたいと思っている。

ただし、私がどうしても穿刺できなくて、数回背中を刺す場合、穿刺後にしばらく背中の痛みを訴えられる場合もあるし、年に数回くらいは脊髄腔を穿刺する場合があり、その場合ブラッドパッチを使用している。また麻酔の効果により時に血圧が低下することはよくあることなので、こうした麻酔を行う際には、ルートの確保、昇圧剤の用意、そして胎児心拍モニタリングを常に行っている。

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さて写真は、4階の私の部屋から眺める、裏の田んぼである。結構田んぼのほうからちゅんちゅんと鳴き声がうるさい。人が来ると、さーっと飛んでいくけれど、しばらくするとこんな感じである。

雀が20-30羽くらいいるであろうか。鳩も1羽。

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雀は稲穂の上に乗ったり、稲穂を食いちぎったりと忙しい。鳩も地面から稲穂をひっぱっている。

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これが毎日続くなら、確かにお米の収量もへることであろう。農家の方のきもちもわからないでもない。

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烏も稲穂をとって、恩恵にあやかっていた。

すべての生き物にとっても、収穫の秋である。