当院での分娩についてまだ説明していなかった、ことに改めて気づく。そこで当院での分娩についてちょっと説明を。

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当院は、現在二つの分娩室(これは帝王切開の手術室を兼ねる)と、分娩までに妊婦様および家族の待機する待機室が6室ある。さらに、術後の観察室が1室ある。これらはすべて2階のナースステーションの近傍にある。(増築前は、2室が待機室、2室が観察室であったが、増築後にこの形に変更した)

流れとしては、陣痛が来た、破水した、などの訴えがあれば、お越しいただいて、診察して入院となり、その待機室に入っていただく。大体6室も待機室があれば、余裕のはずであるが、時に様々な事情で待機室が詰まってしまう場合もある。

さて待機室に入室後に、お産までそこで待機することとなる。静脈ルートを確保し、分娩監視装置を装着して、というのが通常のパターンである。世の中の流れなのか、あるいは当院独自の流れなのかそれは判断が難しいけれど、出産まで家族が付き添われることが多いので、現在当院の待機室は、一人の妊婦様当たり1室(これは開院以来この制度である)であり、家族がとまれるようにすべての待機室にソファベッドがある。

また今の出産の流れの中では、入院後は分娩監視装置を装着することが多い。当院においては、待機室あるいは分娩室にて分娩監視装置の端末を装着し、ベッドサイドあるいはナースステーション、必要時には院内の他の場所で、分娩監視装置の波形を観察することになる。

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あとは分娩の進行を見守りながら、ということになる。利用的介入は必要最小限と思っているけれど、そのためにはやはり分娩監視装置の装着という矛盾する問題が生じる。この装置をお腹につけると、妊婦様の活動性がきわめて制限されるのであるが、安全なお産という観点から、この装置の装着と、静脈ルートの確保は怠れない。

基本的には出産に関しては、病棟で当院のスタッフ(助産師)が経過を観察し、出産直前に医師が呼ばれるという形となる。その前に胎児心音が低下する、ということであれば私相談があり、私が診察をしたり、調音尾亜検査をおこなったり、という形となる。

分娩が進行しない場合には、薬剤の使用あるいは帝王切開の判断が必要となる。基本的には、経腟分娩であってほしいと私は願っているが、様々な理由で帝王切開へと移行する場合も少なくはない。

さて、待機室でお産の状態が近づくと、分娩室に移動となる。施設によってはLDRシステムを導入しているところも多い。実は増築時に、待機室にLDR用の分娩台を入れ、病室を1室だけLDR仕様としていた。しかし、その結果スタッフの導線が長くなること、LDR用の分娩台の寝心地は必ずしも良くないこと、などの点を考慮し、結果としてこのLDRシステムは当院では不適と判断し、待機室と分娩室の形に統一した。

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分娩室2室を、分娩室、帝王切開、小手術などの用途で使いまわしているので、時にかち合うと大変なのである。しかし、当院の現況の出産数、帝王切開数などを考慮し、かつスタッフの動線も併せて考えれば、やはり今のスタイルが好ましい。

さて、分娩室で出産後、新生児は2つの分娩室の間にある準備室上のインファントヲーマ上で初期蘇生を行い、児の状態が良好であれば、産着をきてお母様の横に登場となる。状態によっては、そのまま保育器に収容する場合もある。

なお、当院での分娩室は、分娩台の上に大きなモニターがあり、通常ここでグレートバリアリーフの推移ちゅう映像が流れている。(時にはお好みのDVDを持参される妊婦様もいらっしゃって、帝王切開や出産でノリノリの音楽で出産という場合もある)新生児誕生後は、この画像がインファントヲーマ上の新生児の処置する場面を移す映像となる。(新生児をこの様な大きな画面で写す施設は、そう多くはないとおもっているので、当院に特異的なものである)

出産後2時間はそこで待機し、2時間後に私が診察を行い、問題なければ3階の病室に移動となる。出血が多い、血腫がある、などの理由があれば、翌日まで待機室で観察続行あるいは他施設への搬送となる。

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写真は、明けの明星観察後から、日の出までの流れの写真である。こうやってみると、日の出そのものよりも、日の出前の空の変化のほうが楽しいし、個人的に好みである。

それでは夕日のほうはどうか、というと、夕日に関しては直接日が沈む瞬間、あるいは直前の真ん丸に見えるころがこのみかな、と。