追加であるけれど、私の横切開の帝王切開の場合、手技上どうしても、浅腹壁動静脈を切断せざるを得ないことが多い。そして、この動静脈の走行に沿って、皮膚をつかさどる神経もそうこうしているため、これらの神経を切断していることも多い。(神経と血管を残して操作をすることは可能であるが、そうなると、十分な空間が確保できず、その結果として、児の娩出で苦労することなることがある)

動静脈は、切断しても側副血行路がある。しかし神経に関しては、・・・なので、横切開の場合、皮膚の異常知覚が生じる可能性が高い。触っているけれど、触っていると感じないような、と。これも時間の経過に伴い慣れてくるといわれている。

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さて、おなかの中に到達したら、あとは漿膜(臓器の表面にある薄い膜)を切開して、子宮筋層より剥離する。ついで、子宮体部下部を筋層を切開して、子宮内に到達し、新生児の娩出となる。児娩出後は、胎盤を剥離し、切開創を縫合して、おしまい、ということになるわけである。

帝王切開時に卵巣腫瘍や子宮筋腫の手術を同時にされる方もいらっしゃるようであるが、基本的には私の場合帝王切開においては必要最小限にとどめることとしている。帝王切開時には子宮およびその周辺の血流が豊富で、出血が多く、止血が困難となることが多いので、と。

あとは私なりの工夫として、新生児が頭位である場合、吸引機で児頭を娩出することが多い。これは手で押し上げて余計なダメージを残したくないという思いであるが、残念ながら時にその配慮が及ばないこともある。

また開創器を帝王切開においては使わないことが多い。開創器の突出した金属の部分が時たま何かに接触することで損傷して出血するのを避けたいからである。

帝王切開においては、必要最小限、さっさと終わることを心がけている。しかし、そこで最後の関門が残っている。腹膜を閉じ、筋膜、脂肪層と来て、最後の皮膚の縫合である。たぶんこの皮膚縫合が意外と時間を要している。

というか、私なりの考えとして、この最後の工程こそ、傷の修復のためには大切なことではないかと思っている。できるだけ皮膚の上皮を傷つけないように、そして創面の上皮をできるだけ合わせて、と。とはいえ、15cm程度の傷を縫うわけであるから、これを均等に縫うことはなかなか難しい。で、ああでもない、こうでもない、やり直し、などとしているとあっという間にこの工程で10-20分が過ぎてしまう。でも、この最後の一手間で、傷が少しでもきれいに治れば、と願っている。

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写真は、ようやくオレンジ色に変わりつつある玄関前のきんもくせいである。まだ芳香はわずかである。ここ数日の好天に恵まれれば、そろそろであろう。