医療事故調査委員会、産科医療保障制度、といったさまざな機構が立ちあがり、様々な提言が行わている。安全な医療のために、過去に学び、どのような配慮をすべきであり、用意をするべきかと。


実は私も3月21日に母体急変時の初期対応のベーシックコースを受講予定であるし、またそうした勉強以外にも、可能であれば参加している(ただし、私の場合、本業で行けない場合もあるけれど)。産科という仕事を続けるためには必要なことである、と思っている。


しかし、これらのさまざな提言を実行に移すとなると、それにはそれなりの機材と人手とそのトレーニングが必要である。様々な機材や薬剤の見積もりを調べてみると、それなりのお金がかかることに今更のように気がつく。そしてこれら物は、増えることはあっても、減ることはない。購入したものには、使用できる期間が定められ、その期間をすぎれば、更新が必要となる。


つまり、それなりの施設を維持するためには、その安全対策のための費用がそれなりにかかる、ということなる。大規模な施設は、費用対効果も十分に期待できるけれど、小さい施設だと、なかなか負担だけが大きくなるかもしれない。それでも万一の対応を怠るととんでもないことになるわけであるから、割高であっても、対応せざるを得ない。

安全対策への費用が重んでも、将来的に回収できればまだいい。しかしそこに予想される、将来の少子化と、そして日本という国の財政状況である。いつまでも医療費が聖域ということはないであろうから、将来的には医療費の削減ということもあるかもしれない。

そう考えると、産科の将来は決して明るくはないな、と思うばかりである。経済的負担ばかり大きくなれば、維持できなくなる施設も増えていくことであろう。そして産婦人科医師自体も絶滅危惧種といわれているし、施設とヒトの減少ということであれば、産科施設の崩壊はいつの日か訪れることかもしれない。

というか、現実に、人口の少ない地域では、既に産科施設の消失が生じているわけで・・・。10年後、20年後どうなることやらと思い悩まないわけでもない。とはいえ、そのころにはすでに私はリタイアして、南の島のヤシの木陰で昼寝をしているはずであるが・・・。

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土曜日の午後、白川沿いのあんせい橋のたもとで。

今の私にできることを精いっぱいする、こととする。