私は、都合6か月くらい麻酔科でトレーニングを受けたことがあり、その際に挿管による全身麻酔を行った。またNICUでのトレーニングも同様に6か月程度のトレーニングがあり、その際にルート確保、挿管などの処置を行ったことがある。

しかし、経験したとしても、その持続上でトレーニングを続けなければ、そうした手技の際のコツやノウハウを忘れてしまうのは常である。これは私限ったことではあるまい。当院で、成人あるいは新生児の挿管、という事態はできるだけ避けたいけれど、万一の場合は行わなくてはならないので、その用意は常にしておかなければならない、という認識はある。でも、実際にできるかどうかというと心もとない、というのが開業以来私の抱えてきた思いでもある。

そうした思いは私に限ったわけではないようで、今年受講した救命救急の講習(JMEIDC)の際にも指摘されていた。慣れない挿管で、手間取り、食道挿管となるくらいなら、確実なマスク換気が望ましく、マスク換気の確実な実践により、挿管による時間のロスと換気不良を避けることができる、というものであった。

そしてその延長上で、スタッフにもその習熟が望ましい。なぜなら、マスク換気が必要な場合、その次の対応をスタッフと共有の意識で行分ければならないが、スタッフにその認識がなければ、共同行動ができないということになりかねないからである。

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ということで、8月24日、25日と当院内でスタッフのマスク換気の講習とその実践を行った。当院スタッフを対象にお互いにマスク換気を行ったり、人体モデルをもとに下顎挙上や、マスク換気を行った。

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この挿管モデルは、顔の左側が欠損しているので(気管支と食道の様子が観察できる)ので
左側の顎の下顎挙上は難しい。

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なので、右手で下顎挙上を行わなければならない。下顎挙上、マスクの装着、そして換気。

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一人でダメなら、二人でという具合である。(一人がマスクの装着と下顎挙上、もう一人が換気)。皿に必要であれば心臓マッサージと。そしてこうした講習を各人が練習することで、万が一の場合に、お互いに交代することで長時間持続することも可能であるし、次の対応をすることもできる。

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当院のスタッフが挿管をすることはまずない。しかし。下顎挙上することで気道を確保することを理解してもらうために、この人体モデルで下顎を挙上し、喉頭鏡をかけて、声帯を確認してもらう。残念ながらこの人体モデルには、舌もあり、声帯もあるけれど、喉頭蓋がないのでそこら辺の間隔は少し異なるけれど、下顎挙上、喉頭鏡の挿入には技術の習熟が必要であり、そのためその際にはスタッフの補助あるいは介助が必要であることを理解してもらうためには大切なことである。

ということで、今しばらく、スタッフにはこのモデルを使って練習してもらうこととする。

ちなみに、このモデルは20年くらい前に、私が購入したものである。全くの私物で、埃をかぶっていたが、20年ぶりに日の目を見た。年代ものであるが、まだシリコンは劣化していなかった。