外来に陣痛が来た、といって妊婦様がお越しになる。で、まだ笑って会話できるような状態では、たぶんまだお産に至るような強い陣痛ではないことが多い。とはいえ、時に笑いながら内診台に上がってみたら、びっくり。急いで分娩台に運んでお産という妊婦様もいないわけではないけれど、ま、大体の人は、そう簡単には生まれない。

要は、生まれるための陣痛はそれなりに強い痛みであり、その痛みにある程度さらされることで、子宮口が開いてきて、お産に至る。となれば、その入り口が開くまでの間をどこでどうやって、過ごすか、ということにある。痛いし、いつ生まれるか誰にもわからない。妊婦様も不安であり、そして痛みにさらされることからくる疲労と睡眠不足が続く状態となる。

お産に関しては、初産であってもつるりんと生まれる人もいれば、2日3日と時間のかかる人もいる(この連休中はそうした方のお付き合いをした)。誰でも痛いのは嫌いと思うので、できれば痛みの無い状態でつるりんと生まれれればいいけど、と個人的にはおもっている。なぜなら、時間がかかってなかなか生まれないと、帝王切開の文字が頭をよぎるので・・・。

現在、医療安全を重視され、様々ガイドラインが存在し、より安全なお産のために、ということなると、結構煩雑なルールがある。胎児心拍監視装置を付けるのは当たり前として、随時でいいのか、24時間装着か、と。ある意味では、陣発したといって、入院すると医学的監視の元になる。当然さま座な制限があるわけで・・。

医療上のルールにはさまざまな根拠があって、そうなっているわけであるから、そのルールから大きく逸脱して何かが生じたらとんでもないことになるので、ということはそのルールを外すことはできない。医療安全のための必須事項である。

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当院の分娩待機室は、個室で、ソファベッド付なので、ご家族が一緒に滞在される場合もある。鶴井臨と生まれる場合には、ご家族の滞在時間も短くて済むけれど、2-3日かかる場合には、家族も大変である。

妊婦様が痛い痛いの状態で、よこで旦那がいびきをかいて寝ることはできないであろうから、一生けんめい腰をさすって、それでも生まれなくて、さすりながら旦那もうつらうつら。で、気づいた奥様から”ちゃんとさすってよ”と叱咤激励されることあるかもしれない、と。

この陣痛の痛みは、やはり経験した人でないとわからないことであろう。私は性別上男であるから、経験することはできない。ただ、これまでの当院でのお産5000例には大体ついているので、その横で、皆様の痛みの状態を拝見したこととなる。厳密にいえば、当院での無痛分娩が約3割、帝王切開が2割弱なので、5000例の約半分くらいが自然分娩である。

陣痛の痛みに耐えて、人間が成長する、ということはない、と私は思う。ただ、痛いことは事実であるから、その痛みを非常に痛かったと感じたままでいるより、その痛みに何らかの意義付けをして、貴重な経験をしたと異様に理解すれば、その痛みの経験は無駄ではなかった、と考えられるであろうし、次につなげられるかもしれない。

痛みに対する恐怖、不安感だけを残すような形でお産が記憶に残らないことを願うばかりである。

写真はミルク牧場からの帰り。この写真の中にグリーンヒルが存在するはずである。探してみたが、精度が悪く見つけられなかった。でも、この山の形で考えるとここら辺かな、と。