人間経験がすべて、とは言い過ぎかもしれないが、やはり経験は力である。だからお産を経験された方であれば、次回のお産においては、その前回のお産を参考にする。また、外来にお越しになった方々においては、その既往の病気(疾患)は大変貴重な情報であり、その点をおろそかにすれば、とんでもないことになる。

DSCN0822 (1280x924)

ただし、一人目のお産がとんでもない経験であると、次回お産への恐怖感が先行し、その結果次回妊娠に踏み切れないという方も時々いらっしゃるわけで・・・。当院のお産でもそうしたことがないように、と努めているけれど、時には予想外のことが起こることもある。また私たちスタッフにはどってことなくても、お産の当事者であるお母様方には大変な思いであった、というようなギャップの存在することもあるわけで・・・。

個人的に、現代の少子高齢化の日本において、出産を経験する機会は減少しつつあるわけであるから、その貴重な機会が、少しでもその当事者であるお産を経験するお母様とその家族にとっていい経験となることを願っている。

なので、不安と恐怖ばかりのお産はできれば避けたい事態であり、仮にそうなったとしたら、できればその不安と恐怖を少しでも取り除いて、次回への期待を抱いて、退院してほしいなと願い、努める所存である。

DSCN0832 (1280x980)

一方初産の方であれば、これはまずは経験していただくしかないかな、と。身近な人からの話、本や雑誌で得られる情報、そしてネットで得られる情報とさまざまな情報が錯綜することであろう。お腹はおおきくなっても、いっこうに生まれる兆候がなければ、不安が胸をよぎるかもしれない。お腹は大きくなり、体重も予想以上に増えても、まだ生まれない。

また出産までの情報で、お産は大変痛いと聞くかもしれない。会陰切開があるかもしれない、縫合があるかもしれない、抜糸も痛い、帝王切開にはなりたくない・・・・と様々な思いが交錯するかもしれない。人間、時間があればいろいろなことを考えることであろうし、そうした際にスマホで検索すれば、という事態も予想される。

そう思っていたら、ようやくお腹が痛くなった。よしこれは陣痛だと、思ってクリニックを受診すると、まだまだです、といわれる。初めてのお産でわからないし、不安も多いけれど、まだまだといわれれば、帰らざるを得ない。仕方がない、と。

産科医の立場からすれば、やはりそこそこ痛くなって子宮口が開いてこないと、とてもお産に進むとは思えない。要は、お産になりそうな陣痛が来るまでの間を如何に過ごすかということである。本当の陣痛がいつからか、それは誰にもわからない。本当の陣痛が来るまでの間を、あまり深く考えずに不断の日常生活を続けて、お産のことを頭から切り離せるのが理想であると思っているけれど、やはり痛みが不規則にあるとなかなかそこは難しい。

私個人としては、笑顔が出て普通に会話ができる間はまだまだです、と話している。陣痛が来た時に、痛みで顔が歪み、しゃべらないくらいになったら、痛みはほんまものかな、と。できればその時点で、外子宮口が数センチでも開いていればOK。逆にいえば、その時点でもまだ子宮口が開いていないならまだまだなので、まだまだ痛みが足りません、と説明せざるを得ない。

単純にいえばこれで終わりであるけれど、そこに医療安全の観点からすると、分娩監視装置の装着、各種検査(超音波、血液検査、培養検査)などの検査所見が加味されることになる。

種々のリスクがあれば、それを想定したうえでの入院対応となる。入院してからの話はまた明日以降に。

DSCN0835 (1280x998)

写真は、院内のバラのつぼみ。12月ともなりそろそろ霜でつぼみも枯れるかな、とおもっているけれど、せっかくのつぼみだし咲かせてあげたいけれど、そのためには暖かい環境に移さない限り不可であり、どうするか、と。