ここ数日帝王切開が週に2-3回続く。帝王切開が続くと、手があれる。ハンドクリームが欠かせない。肌荒れから、皮膚がささくれだって、表皮が欠損すると、次回手洗いの際に痛い思いをする。なので、スキンケアは欠かせない。

私が医師として歩み始めたころ(昭和の時代)は、手術においてはブラシによる手洗いが必須であった。手に洗剤を付けて、ブラシでごしごし。柔らかいブラシならいいけれど、硬いブラシもあって、そのため手洗いが終わると手は肘から先が赤くなっていた。こうした手術が日に2回もあれば、ますます手は赤くなるわけで・・・・。それがその当時は当たり前であった。

平成になってから、手もみ洗いが主流となり、手に洗剤を付けて丁寧に洗い、ブラシの使用は減っていた。さらに施設によっては、流水を使えばOKということで、必ずしも滅菌水は使わなくてもいい、ということになった。

さらに最近では速乾性のアルコール系の消毒剤を刷り込むだけでもいい、というような話を聞いたような気もするが、その点は自信はないので、当院ではイソジンかヒビテン含有の消毒剤の手もみ洗いのままである。ということは、あたり前のこととなるけれど、私がここで産婦人科医として現在のスタイルを貫く限り、手荒れは避けて通れない、ということとなる。

ハンドクリームも普通のハンドクリームで、あまり香料の強くないものを選んでいる(ニベアとかアトリックスとか)。ちょっと変わり種を試しても、やはりそちらの方が良かった。

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赤ちゃんのおしりも時に同じような問題に直面することがる。新生児の状態にもよるけれど、大体新生児は、飲めばでるのである。おっぱいを飲み始めると、おしりの方からブリブリと反応することが多い。つまり飲むたびにウンチが出る。

で、そのウンチを市販のおしりふきで拭いていると、いつのまにやら赤ちゃんのおしりが少し赤くなってくる。で、さらにそれでもそのままつづけていると、少し皮がむけてくる。で、それでもそのまま続けると、表皮が剥がれ落ちた状態であるから、感染を生じて、肛門周囲に膿瘍を作ることがある。さて、こうなると大変で・・・・。

膿瘍を作ると、切開排膿、抗生剤の投与と小児外科医か皮膚科医に相談ということなる。なので、おしりが赤くなってきたら要注意である。

個人的には、赤ちゃんのおしりが赤くなったら、排尿排便後の頻回のおむつ交換、おしりのシャワー浴(水だけで)、交換時の外用薬の塗布、ということになる。程度が軽ければ普段の新生児用のスキンケアのクリームで十分であるとおもうけれど、程度が重ければステロイドと抗生剤含有の外用薬を処方することなる。おさるのおしりになったら要注意である。

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また新生児は、生まれる前は水の中(羊水に包まれた子宮の中)であるけれど、生後乾燥の世界に移ることとなる。そのため、乾燥への適応が始まる。皮膚が固くなり(とはいえそれでも私の皮膚よりはるかにやわらかい)、そして体重増加に伴い、皮膚は剥離していく。

たしか昔授業で、大人の皮膚は4週間で基底層から剥離層にいたり、脱落する、と聞いたような気がする。このサイクルが新生児は2週間程度と早い。さらにそこに新生児の体重増加の件もある。

仮に4000gで生まれた赤ちゃんが、1日20g体重が増加するとする。これは体重の0.5%に相当する日々の体重増加である。私の体重は現在およそ80kg、これで毎日0.5%増えるとすると、1日0.4kgの増加であり、1週間で2.8kg、1か月30日で12kgとなる。こんなに増えた日にはとてもじゃないが、皮膚がついていかず、妊娠線ならぬ皮膚の割線が多数生じることであろう。

そして赤ちゃんにとってのこの程度の体重増加は当たり前のことであり、今後生存のために必要なことであり、その結果赤ちゃんは脱皮するように皮がボロボロ向けていくのであろうと、と思っている。なので、時に皮がボロボロ向けて心配と相談を受けることがあるけれど、当たり前のことなのでとお応えする程度にしている。どうしても心配なら新生児用のスキンケアクリームで十分でしょう。帰って逆に石鹸で洗いすぎないようにと。

ただし、皮膚の皺の部分の洗いが不十分で、垢がたまっている場合は、きちんと洗うことをお勧めする。

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写真は院長の趣味の園芸である。現在とれたてが一番運動実施中である。枝豆、胡瓜、トマト、オクラを種からまいている。現在の興味は枝豆。枝豆の名前がビアフレンドという。これは6月の収穫が楽しみで、遅霜や水切れにちゅういして、と。