当院では、開業以来無痛分娩を行っています。通算件数は、現在まででおおよそ2600件となります。その間の総分娩数が6100件くらいなので、おおよそ4割が無痛分娩となり、2割が帝王切開、4割が自然分娩という割合です。

開業当初の無痛分娩のスタイルはどちらかというと計画分娩を中心に、以前の経験をもとに導入したものでした。実際に施設で運用するにあたって、いくつかの変更を行い、2011年大幅な変更を行い、以来改定バージョンで行っていました。

少しづつ可能な範囲でアップデートを行い、より安全で、効果的な方法へと少しづつ変わって、今のスタイルとなっています。初期の無痛分娩以来変わらないことは、当院においては、いつでも無痛分娩を希望する場合には無痛分娩をおこないます、ということと、硬膜外麻酔のための使用する穿刺機材です。

施設によっては、夜間や祭日は不可、計画出産のみ、という施設もあります。しかし当院はいつでもOKとしていました。これは院長である私が、大体クリニックにいるので、夜間でも祭日でも、私が穿刺し、以後の管理を責任をもって行う、ということが背景にあります。そのため、私の慣れた機材を使用するので、穿刺キットも変わらない、ということになります(慣れた機材が使いやすい)。

ただ、そうしたいつでもOKというスタイルの結果、自分で自分の首を絞めているようなところもあり、いつでも夜中にお産以外で起こされる、ということにもなります。でも、やはり痛い痛いと、叫ぶ妊婦様も時にいらっしゃいますし、また、頑張ろうと思っていても日が暮れて、草木の眠る丑三つ時にも痛くて眠れず、お産も進まないと心も折れる方もいらっしゃいます。

なので、無痛分娩はいつでもOK、というスタイルは、私が院長で元気な間は続けたいと思っています。

DSCN2892

当院においては帝王切開もほぼ硬膜外麻酔であり、無痛分娩の麻酔も硬膜外麻酔であり、その9割以上は私が硬膜外穿刺を行っています。これだけ数をこなせば、大体の方は穿刺できるという自負心もあります。

しかし、やはりどうしても時にできないことがあります。何回穿刺しても、うまく到達できない。そのような場合で、時間に余裕があれば、知己の麻酔科医に出張麻酔をお願いすることとなります。月に1回ほどそうしたことがあります。

私が穿刺できない大体の場合は、妊婦様の背中の脂肪の厚さにつきます。硬膜外麻酔を実施するためには、背中を丸めた姿勢で横になっていただいて、腰骨当たりの背骨の骨と骨の間を針で刺すのですが、お肉が厚いとどうしてもこの背骨の骨と骨の間がわかりません。

穿刺される妊婦様にとっても、背中は見えないし、針で何回もさされればやはり不安もあり、その結果腰が引けて、姿勢も悪くなる、という悪循環です。さらりと、スパッと、これが極意であろうと思っていますが、やはりどうしてもうまくいかないとには、ヒトを変えて、状況をかえて、ということになります。

ただ、その時麻酔科医師に連絡がつかない場合には、残念ながら無痛分娩は諦めていただくしかない、というのが現況です。(緊急帝王切開の場合、当院で麻酔が不可の場合は、緊急搬送となります)。

なので、無痛分娩を希望される方には、やはり体重コントロールをお願いしたいと常々思っていますし、それで麻酔ができなければ、体重のせいだからしかたがないかな、とも。やはり妊娠においては、適切な体重増加がのぞましい、と思っています。

さて、こうして確立しつつあった、当院の無痛分娩のスタイルを、今後のより安全なスタイルにへんlこうするため、現在職員と私のトレーニング中です。7月以降は新しいスタイルとしたいと、様々な準備をしています。

新しい無痛分娩のスタイルのためには、私を含めたスタッフのトレーニングと、それに対応するシステムの構築が必要であり、カルテの書式や機械が必要となります。そのために3月からトレーニングを開始しています。ただ、こうしたトレーニング、新しい機器の導入、新しい薬剤の用意と変更追加する事項も多く、経済的な負担も増加した結果、8月以降の無痛分娩の費用は増額へと改定されます。申し訳ありません。

DSCN2893

熊本の梅雨入りはまだで、一部の地域では水不足で田植えができない、という話も聞いています。クリニックの裏では地下水を利用して潅水しているようで、蛙の声が響いています。