よくあることであるけれど、どこそこの有名人が子宮頸がんになった、卵巣がんになった、という記事が出回ると、ちょっと私もしんぱい、という方が外来にお越しになる機会が増える。SNSに限らず様々な情報源があり、(その正確性はさておき)、その情報に触れて、私もこうした症状があるから、という人もいらっしゃる。

一方医者自身でも同じことが起こりうる。学生時代に一通りの疾患について学ぶけれど、その後専門の道に進めば、専門以外の病気については次第に知識が不正確となるけれど、その疾患の一部の記憶が残っている。で、ある日ふと、自分自身は病気ではと思ってしまうと、不安となる。

不正確な知識は、生兵法みたいなもので、たちが悪いわけであるが、その不安があると困ったことで、その不安解消のためには他者まで巻き込んで大騒ぎする人もいるかもしれない。巻き込まれた人は、正直言って迷惑である。でもパニックに近い状態に陥った人には、そのパニックの根源を解消しない限り、そのパニックは収まらないので、仕方がない。

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で、以下が私の話である。

最近どうも視野の片隅にちらちらする何かが気になっていた。で、これはもしかして網膜剥離?とふと思った。もしそうなら、今後診療継続において大変な問題となる。どうするか、と悩んで、それならさっさと眼科を受診して、白黒つけることとした。

月曜日の午後知り合いの眼科に電話して、受診することにした。ちょうど西村佳与子医師の対応が可能であったので、急遽外来をお願いして、いってみた。

結論:齢による水晶体の変化の影響の可能性が高い、ということであった。白内障:とは、だれでも避けて通れないということである。点眼薬をもらって帰った。網膜剥離への不安は解消されたが、年を取ったことを改めて認識せざるを得ないわけで、ま、複雑な心境である。

人間が年を取ることは、当たり前のことであり、長く生きればいろいろなことがあるさ、と。そのなかで自分の体が少しでもいい状態で動かせるように心がけたいものである。

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写真は中庭のキボウシだったか、なと。