2017年11月
当院食事のパン事情
その時の状況や私の状況によって、話は微妙に異なるけれど、基本は、皆様に知っておいてほしい事項を、私なりに解釈したり、当院の状況を説明する場所としている。
当然ながら、食事は部屋でしてもいいわけで、その場合私が皆様の部屋に出張することはないので、朝食会場に人がいない場合、私は一人で食事をしてさっさと退散ということになるわけである。
そうした方々から、昨日当院でお出しするパンが美味しいといわれた。また、昨日とある理由で大学病院にタクシーで行って、帰りがけタクシーの運転手さんから、グリーンヒルですか、あすこはパンが美味しいと知人がいっていました、といわれた。パン?が美味しいという話をここでも聞いた。
さて、当院でのパンは、近所のロジパンからの配達分がある。これは近所だからと無理にお願いしている。朝食用のパンである。また、私個人も好きなパン屋さんなので、時に訪れて購入している。
昼食夕食の際のパンは、自家製である。といっても、とあるところからパンの材料をお取り寄せして、レシピに従い、パンをこねて、発酵させて、焼いているということにある。当院にはパン焼き用の窯があるわけではないので、オープンで普通に焼いている、パンである。
きっと焼き立ては美味しい、ということか、あるいはそのパンのレシピが優れている、ということであろう。
ご興味のある方は、①ロジパンに購入に行く、②ネットで松山のパン材料屋さんに連絡するということにある。参考までに、http://www.marusanpantry.com/welcome/ である。
私は、4階の部屋にいることが多いが、いつも部屋にいるわけではないので(外来やお産がある)、このチョウゲンポウがいつも来ているかどうか、それはわからない。しかし、彼(彼女)がくると、キューキュートつぶやくので気づくのである。窓越しなので、条件が良くないと顔は張って切り見えないけれど、なかなか愛らしい顔をしている。
しかし、昨日は食事中であった。羽をむしって、下から肉をついばんで、と、あとには羽毛だけが残っていた。鳩かな?と。
彼(あるいは彼女)がワンシーズンにどれだけ鳥をたべるのか、それはわからないけれど、少なくとも2羽の端とは食べた(私がたまたま見た)。ということは、この界隈で鳩が2羽減ったということでもある。野生の世界のことではあるけれど・・・。
へその緒の切断のタイミング
へその緒(医学的に臍帯)は胎盤と胎児(新生児)をつなぐ管で、中に静脈1本と動脈2本があり、その外側を特殊なゲル状の物質で覆われていて、乳白色である。長さは大体50cmくらいである。ちなみに、新生児の血液は動脈2本から胎盤に流れ込み、そこで、酸素を得て二酸化炭素を放出し(これらは赤血球担当)、児の老廃物を母体に返し、栄養素を母体からもらって(これらは基本的に濃度勾配で)静脈から胎児のからだに流れ込む、ということであったと思う。
生まれてくるときに、産道で胸郭が圧迫されて、開放される(生まれてくること)時に肺に空気が流れ込み、それまでスポンジ状に固くなっていた肺が開いて、そして肺に空気がたまって、出ていくときに声帯を震わせることで、泣く(あるいは鳴く)とならったような気がする。その泣いた頃を先に、へその緒の臍帯の拍動が停止し、臍帯の動脈が収縮し、血流が停止する。ただし、静脈は太いし、白銅はないので、まだしばらくは胎盤からの血液が帰ってくる可能性がある。
従来、アジア系の人種は、新生児の生後に病的黄疸となることが多いので、多血症予防の観点からも、生後適切な時期に切断すべきである、という意見があった。またへその緒を切断しないと、生まれた児はお母さんのそばから話すことができす、生後の新生児の初期蘇生の処置が行いにくい。
新生児の体は、生後の低体温に注意しなければならず、熱ふく射器(ラジアントヲーマー)の下で、乾いたタオルで児の表面の水分を拭き上げながら、気道の確保を図り、心拍を確認し、必要であれば酸素投与を行う云々が新生児の初期蘇生の基本である。そのためには、数人の手が同時に必要であり、状態が悪ければ様々な機械が必要となる。そうした観点からすれば、分娩その場の環境よりも、処置しやすい環境に児を移すことが必要であり、そのために臍帯の切断は必要なことである。
しかし、最近外国の論文で、あまり臍帯の切断が早いと胎盤からの返却する血液が少なくなり、貧血となることがある。新生児の貧血はあまりいいことではないので、臍帯の切断を少し待つべきである、という報告があった。
そこで当院では、生後元気に泣いている赤ちゃんであれば、母体のお腹の上においた乾いたタオルの上で噴き上げながら、お母様に児を確かめていただき、1分程度まって臍帯を切断することとしている。ただし、児が小さい。呼吸状態が不安定な場合には、早期の切断し、新生児蘇生の処置にすぐ対応する、ということとしている。
こうした対応は、新生児初期蘇生の基本であるとおもっているので(そうした講習会が年に数回開催されている)、どこの施設でもどうようにおこなわれていることであろう。
20年位前であれば、生まれた子が元気がない、といって冷水につけたり、足やお腹をたたいたり、沐浴したり、ということもあった聞くが、今ではあまりそうした行為はお勧めできない。ただし、沐浴に関しては当院でも特殊な場合に、短時間に限り実施している。
以上のようなことを外来で長々と説明することはなかなか難しいけれど、根気よくそのお母様に数回に分けて説明し、納得をしていただこうと思っている。
虎屋(TORAYA)の餡ペーストは、私の好みであるけれど、この餡ペーストが基本的に商品として成り立っているということは、私以外の大勢の人がこうしたものを好んでいる、ということである。で、先日お気に入りのパン屋さんで、こうしたものを見つけた。
思わず買ってしまった。まだ、虎屋の分がのこっているけれど・・・。
ケイツーシロップ
昨日の外来で、産後に新生児にケイツーシロップをあげたくない、臍の緒を早く切りたくない、というお母様がいらっしゃった。どうしてこの様な質問が、とも思わないでもないが、当院の方針として、ケイツシロップを生後3か月まで投与すること、臍帯の結紮は通常1分間待機して切断すること、などを説明した。
で、ふと思って、ネットで検索すると、該当するような内容の趣旨のブログがあった。どのような方が記載されたのかな、と思って探してみたが、担当者の履歴はわからなかったので、医療関係者かどうか、よくわからない。 記事の内容は2016年であるけれど、妊婦様がさまざまな情報検索の結果にいきあたったブログなのであろう。
ちなみにネット上で検索すること、ケイツーシロップの投与することのメリットを述べてある記載のほうが多いし、その医学的根拠もきちんと説明されている。そういうなかに、ちょっと異なる論点のブログである。
さて、ブログを記載する人には様々な信念があり、動機があり、他者のブログの内容を批判することがこのブログの目的ではない。当院ではどのようなことをしているか、あるいは院長がどのように考えているか、ということを表明することがこのブログの主たる目的であるので、他者はどうあれ、せっかくだからケイツーシロップの話をしよう。
私が熊大医学部を卒業したのは、昭和60年である。その当時の小児科の教科書に、ビタミンK欠乏性頭蓋内出血の記載があったように思う。要は、生後数日から半年の間に、母乳保育で育てられている赤ちゃんが、突然けいれん発作を起こして病院に運び込まれる。調べたら、頭部に大きな出血巣があり、その取穴による影響で神経が圧迫され、けいれん発作を起こした、というものであった。その原因は、新生児のビタミンKの不足によるものである、と。ほかにも新生児のビタミンK欠乏による病気で腸管出血があり、これらの病気の予防のために、ビタミンKを出生直後から与えるのである、とならったような気がする。
ビタミンKは、人間の体内で血液を固まらせるために働く大切な因子で、このビタミンKが不足すると、血液がサラサラの状態となる。体の中の蓄えはそう多くはないので、十分に補充できないと、枯渇した場合、そのようなことが起こりうる。ビタミンKはビタミンの1種であるから、基本的には生体内では作られないし、食事で接種するしかない。唯一の例外、納豆であり、納豆が大好きな人は、その腸管に大量の納豆菌が供給され、その納豆菌が腸内でビタミンkを産生するので、そうした方々はビタミンKの濃度の高いことが予想される。
母体の中に長期間滞在する赤ちゃんの栄養素は、基本的に母体の栄養状態を反映する。つまりビタミンKの濃度の高いお母様から生まれた赤ちゃんはビタミンKの濃度が高いし、低いお母様はビタミンKの濃度が低い。ビタミンKの濃度が低いと、出血という問題が生まれるので、本来ならビタミンKの濃度を測定して。投与の有無を判断すべきである。しかし、微量に存在するビタミンKの濃度を測定することは難しいし、またPIVKA(ビタミンKによる凝固能を調べる検査)などの特殊な血液凝固能の検査をするためには、血液を採取して、その結果が出るまでにかかる時間がある。一方ビタミンKの過剰投与で中毒になることはない、とされているので、それならビタミンKを最初から投与しよう、というのが基本的な考えであると思う。
従来、生後直後、退院時、そして1か月健診時に計3回のビタミンKを投与することが従来の産婦人科の方法であった。で、平成20年ごろとある訴訟事件があり(ビタミンKを投与せず、頭蓋内出血が起こり、裁判となり、和解勧告が出たというもの)、その後しばらくして新生児学会から従来の産婦人科の投与方法でもいいけれど、オプションとして、生後1か月あるいは生後3か月までビタミンKをとうよしてもいい、という勧告が出た。その前後で、ビタミンKの製剤が分包製剤となったので、以来当院では生後1か月までの分4回を退院時に渡していた。
で、つい先日とある講演会で、生後3か月までビタミンKを投与したほうがいい、福岡県では現在その体制に移行しつつある、という話を聞いたので、当院でもつい最近生後3か月までと改めた。(本来なら生後3か月となると、産科の領域ではなくて、小児科の領域であるけれど、このビタミンkに限って、万一そうした領域を主張して、ビタミンK欠乏性の何らかの疾患が生じた場合、大変なことになるので・・と思って)
ということでそのような方針に変更した際に、この様なことをお母様から聞いた。私の立場としては、当院の方針としてこの様にする必要性があると院長が判断するので、投与します。どうしてもその方針に従えないのであれば、他施設を含めて再検討ください、というしかないかな、と思う。でも万一、二次性のビタミンK欠乏性の病態が生じた場合、極めて後味の悪いものとなるので、根気よくビタミンKシロップの必要性を説明するしかあるまい、と思っている。
写真は近所のお宅、その2である。こちらではどうもデコポンを育てているような・・・。そしてオレンジ?蜜柑?だいだい?そうした柑橘系もあるような・・・。寒い季節に、緑の葉とオレンジ色の果実、なかなかいいなと思う。そしてそれに味覚も加われば、と。今から植えてもできるのは、数年先であるけれど、来年の植木市で探してみよう。
季節もの
本来なら苺のシーズンは5月ごろとおもうけれど、今のご時世12月も旬というべきか・・・。しかし自然本来の時期のものをシュンというべきであろうかとも思う。
さて、これは先日自転車散策時に見かけた果実。この表面の床凹具合と大きさからすると、柚であろうか。
こちらは、キンカンであろうか。どちらも木を植えて、こうして実がなるまで数年以上かかることであろう。このおうちは、前回の吊るし柿(干し柿)のお宅なので、この柚やキンカンもきっと大切に使われることであろう。
実はクリニックの片隅にサクランボを植えている。一向に実がなる気配はない。まだ木も小さいし、日当たりも悪いしな、と。待つことも必要である。(というか待たざるを得ないのであるが)
しかし、時の推移をまつこと、これは何事においても同じであるかもしれない。お産においても、人間の成長においても、と。
さて、そろそろ待機の時間が終わり、お産でよばれそうである。