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当院は熊本市の東に位置し、住所も東区である。周辺の自治体との境界が近い。ということで、開院当初、当院にお越しになるのは東区、益城町、菊陽町、大津町、合志市(当時はまだ西合志と合志に分かれていたような)が中心であった。次第に患者様が増えて、阿蘇、蘇陽、高森、南阿蘇、小国、菊池、御船、城南とエリアが広がって来た。

当院、開院後に熊本市が東区中央などの中規模都市に昇格し、周辺の自治体もいくつかの合併があり、地名が変わった。でも、大体当院にお越しの方は、熊本市の東側、北側、南側というような感覚である(ちなみに、西の方には非常に繁盛している産婦人科施設が2件あるので、そちら方面はきわめて少ない)。

こうしてお越しになる方のエリアが広がったということは、当院の認知度があがったこと、当院の診療スタイルを皆様に受けいえれて頂いたということであり、これはある意味、当院の診療スタイルが大体正しい方向にあったということでもあろう。


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少子化の時代であり、熊本県でも総出産数は、開業当初年間15000人といわれていたような気がするが、ここ数年年間12000人以下と聞いたような気もする。当院も2022年はコロナの影響で、急な転院(妊娠36週以降のコロナ感染は高次医療施設というルール)があり、470名と大きく減ったが、2023年は少し持ち直して,504名であった。

さらに、産婦人科医は勤務がハードで、呼ばれることも多く、訴訟の危険と隣り合わせということもあり、昨今の産婦人科医を希望する人はそう多くはない。なので、各地の総合病院の産婦人科医師の確保が大変である。場合には寄っては、産婦人科は休診という場合もある。

また、開業している産婦人科医は、次第に年をとり、少子化で取り扱い分娩数も減少すれば、分娩取り扱いを中止して、外来だけとする施設もここ数年増えてきた。その結果、分娩施設は減少し、エリアによっては分娩施設のない場所も存在し、そのため遠方まで妊婦健診に通うという場合もあることであろう。

つまり、当院の分娩数が500前後で推移ししているということは、当院診療スタイルを皆様に受け入れていただいたということもあるかもしれないが、分娩施設が減少して、おのずと一部の施設に集まった、ということもあるかもしれない。ということは、さらに分娩数が減少すれば、今の分娩数も低下していく事であろう。


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不思議なもので、月の分娩数が30を下回ると、結構暇である。といっても30件のお産や帝王切開があるけれど、余裕の状態である。しかし、50前後だと、結構忙しいこともある。”降るときは土砂降り”ということもある。実際、先週の金曜と昨日の日曜は大変だった。

しかし、その忙しさもそう続くことはない。運命論者ではないけれど、なんでこんなに忙しいのか、と愚痴をもらすよりも、たくさんの方々に利用いただいてありがたい、と受け止めようと心がけている。天がもたら試練は、乗り越えられる試練しか与えない、と考える(乗り越えられなければ、単に朽ち果ててしまうだけのことでもあるが)。

白梅、結構今年は咲いている。ということは、今年こそ青梅を

他者から聞いた話で想像する事態と、実際に自分の目で見た場合の状況と、異なることがある。それはその間に、時間的変化が生じたのかもしれないし、あるいは他者から聞いた話の根底には、他者の目による観察とその評価が加わっているからかもしれない。評価の基準となる資料が、また聞きの情報か、あるいは自分の目で見た情報かで、判断は変わることもある。

それは私自身の評価が誤っている場合もあるかもしれない。しかし、自分で考えて、評価して、行動して、その結果が望ましい結果でなかったとしても、それは私自身の責任の問題であり、私自身の評価が誤っていたということである。あとはなぜ誤ったのか、その過程をふりかえることができればいい。そうすれば、誤った判断であっても、学ぶことができたし、後々同じ失敗をしなくてすむ。

しかし、最初の判断が、不正確な情報に基づくものであったとしたら、なぜ自分の目で評価しなかったのかという悔いが残ることとなる。他者の目や判断はやはりその人の経験に基づくものであり、それは私がどうこうできるものではない。

つまり、やはり基本は自分の目で見て感じて、判断すべきである、というのが私の行動の基本である。これは日常の生活においても、園芸においても、調理においても、そして診療においても、ということになる。


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ただ、診療においては、できるだけ対象である患者様の受ける不利益を必要最小限限にすべきであり、そのためにできるだけ誤った判断は下したくない。しかし、そうなると判断するまでに必要な情報を集めるために、貴重な時間を費やすこともあるかもしれない。その結果、判断はできても、治療が遅れた、というのも望ましくない。

かといって、拙速な判断で治療して間違っているのはもっと困るし・・・。

そしてそこに難しく存在するのが、産科診療における素早い診断の必要性である。産科診療には時に素早い診断と対応が必要とされる場合があり、限られた情報と時間と手段の中で対応せざるをえないことがある。出来れば、そうした場面は高次医療施設にお願いしたいけれど、そうなると、搬送のタイミングをどこにするか、ということでもある。

ここら辺の問題は、たぶんいつになっても課題として残るような・・・。ここにも時間的、空間的、そして肉体的問題が生じるわけである。たとえて言えば、今の私には開業して約16年の経験があるけれど、その間に16年の月日が経過し、知力の衰えはなさそうであるが、体力的な衰えはあるので、やはりお産や帝王切開が夜中に続くとつらい。

つまり十分に経験を積んだ時=リタイアするべき時となっているかもしれないな、と。

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雲の厚い朝、東の空の位置だけ雲が薄く、ちょっと朝日がさす。その方向にちょうどアジオカセメントの工場があるけれど、工場が燃えるように見える写真となる。

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ウィメンズクリニックグリーンヒルは、2007年4月末に小竹組より私(医療法人グリーンヒル)に引き渡され、以来私は院長である。つまり16年6か月院長を務めていることとなる。その間に私は16年の経験を積み、年齢を重ね、体重も増えた。

昨年から医師の働き方改革が叫ばれ、あちこちで様々な改革が進んでいると聞く。働く時間がきちんと計算され、過度な労働がないように、そして女性や家族のいるスタッフが働きやすいに様に、というのが趣旨であると思う。しかし、現実には、その結果として働く時間が制限され、人手不足となり、派遣する医師が減り、かえって医師不足を招いているような・・・。

未来永劫、満ち足りた生活が続く、ということは現実にはなかなか難しいことで、満ち足りた生活を目標とすることはいいけれど、そのために何を方法とするか、と。そして実際の満ち足りた生活の実現は難しく、何かができれば、何かはできない、そうした現状でいかざるを得ないような気がする。

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医師会や友人から、さまざまな助言を頂くけれど、結果として、現行の医師の働き方改革の中で、私にできることは、現行維持である。つまり、私が院長として働けば、私は勤労者ではなくて、管理者であるので、働き方改革の対象ではない、ということになる。

というか、お産を取り扱う有床診療所を維持する方法は、やはりこれしかないような気がする。責任の所在を明確にして、命令系統をはっきりさせる事、これにより結果として小さな施設を安全に運営することができると思う。

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先日スタッフが6連勤であるとぼやいていた。勤務都合上時にそうしたことが起こりえる。何とかスタッフのやりくりで、変更出来れば、と思っている。

現行当院では水曜も日曜も診療しているんで、私は7連勤というか、建前上は祭日がない限り毎日働いている。ただし、それは管理者兼医療従事者として働いているわけである。そこで気分転換に草を刈ったり、バラのお手入れをしたり、サックスを吹いたりと。ま、私はこれでいいかな、と思っている。(というか前述したように、このような方法でしかクリニックを維持できない、と理解している)

南の島にも行けないし、ワイン巡りもできないけれど、自分の判断で選んだことなので…。いつの日か誰かに譲渡せるとしたら、それに越したことはないけれど、ま、ボケ防止と考えればそれはそれでいい。

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前回で、産後直後の水分の再配分とその利尿(おしっこをだす)という形で、出産直後の体重変動を推定した。ここには、生体内の恒常性維持という機構があると推定する。つまり、車は急に止まれないというである。妊娠した体が急に元には戻らないし、どちらかというと、産後も妊娠前の状態を保とうとするために、生じた一時的なアンバランスの状態で、それを1-2週間くらいかけて、調整する。

そこに絡んでいるのは、産後の食物の摂取、尿、そして出始める母乳であろう。ということで、母乳が出始める頃から、体重減少の第二ステージになるのではと思う。このころには、体の中のむくみはある程度目途がついて、少しすっきりしてくるころであろう。しかし、妊娠中に蓄えられた脂肪はそのままである。

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5大栄養素というような分類を昔、家庭科の授業で習ったような・・・。蛋白、脂肪、糖、ビタミン、ミネラル、というものである。人の体は、この栄養素と水分で構成されている。

妊娠中に筋トレをして、筋肉質になるような妊婦様にお目にかかることはない。大体妊婦様はふっくらしている。そしてそのふっくらの原因は、たぶん蓄積された水分と脂肪である。なぜなら、ビタミンやミネラルの量は限られているし、糖質はグリコーゲンとして筋肉と肝臓に蓄えられるが、その量はご飯1杯分といわれている。

つまり、妊娠中にご飯を2杯食べたら、2杯目のご飯は糖質として蓄積されず、脂肪に置き換えられて蓄積されるということである。こうして妊婦様の体には、妊娠の後期になり体が重くなり、結果として運動量が低下し、食事で得られたカロリーが消費されなければ脂肪として蓄積されることとなる。

ちなみに、妊婦健診時に体重増加を指摘すると、運動します、という答えが返ってくることが多い。しかし、個人的にはあまり運動はお勧めしない。なぜなら、妊娠後期に重たくなった体では思ったほど運動できないし、ちょっと運動しただけで満足感と安心感が得られて、食が増すだけのことであろう。ましてや慣れない運動で転倒でもしようものなら、寝たきりとなって、さらに体重が増す。

どうしても運動をしたい、というのであれば、もともとそれなりの運動をする習慣があって、筋量が保たれていれば可能である。理想は短時間でカロリー消費の高い運動であり、そうした点からすればマタニティビクスは理想的である。ただし、運動のバランスを崩すと点灯しかねないので、スイミングやヨガ、ピラティスもお勧めである(ヨガやピラティスは、十分な呼吸法をまもってトレーニングすると結構なカロリー諸費が可能である)。ただし、こうした運動でやせようと思うなら、それなりの運動強度で、最低週3回必要である。

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さて、産後の話に戻そう。産後の脂肪を減らすには、やはり基本は母乳である。母乳の成分は、基本的に血液と同じ体液であるので、母乳をあげることは、血液を放出していることと等しい。そして、血液は、腸で吸収した栄養素を肝臓に運び、さらにそれから全身に運ぶ運搬車に相当するので、母乳分泌は、実は極めて効率的な脂肪吸引であるともいえる。

ということで、母乳の分泌が良好であれば、体重減少に寄与する可能性が極めて高い。しかし、ここでいくつかのルールが守れないと、おっぱいは出ていても、体重は減らないというミステリーに直面することとなる。この話は、また次回に

裏庭の秋採り枝豆がいい感じになってきた。今日は仲秋の名月らしく、季節もいい感じになってきた。しかし一部の地域では、まだ真夏日が続き、カメムシが大発生しているとも聞く。カメムシに食べられる前に、と。

連休に挟まれると、通常の診療日が減る。減れば、診療日に患者様が集中することは自明の理である。ということで、今週は外来にお越しになる方が多かく、お待たせすることも多かった。

繁忙の時期にお産が重なると、さらに大変なことになるわけで、そこに緊急搬送や、血腫などの合併症が重なっても大変である。青木医師や岩﨑医師の診療する時間帯であれば、まだ少し余裕があるが、私の診療時間に重なると、申し訳ないとしか言いようのない事態となる。

それでも、以前に私一人で診療していたころに比べれば、はるかに楽であるし、円滑に診療はなされていると感じる。そこには、当院の診療システムの変化、スタッフの習熟、医師の補充、そうしたいくつかの要因が重なり、今がある。


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それでは今がベストかというと、かならずしもそうではない。以前に比べればベターかもしれないが、ベストかどうかの判断は難しい。いつの日か、私が診療から離れるときに振り返ってみて、ここが一番ベストであったとわかることはあっても、今の流れの中ではその判断は難しい。

しかし、開業当初に比べればベター、つまりより改善され、より洗練されていること自体は間違いないと思う。

そして当院の主たる業務が分娩であり、分娩をコントロールすることはできない以上、いつでも分娩どうぞという体制を整えて、対応する、この基本的なシステムには変化はない。ただ、その繁忙度は、その時のお産の神様の配慮次第である。

で、あとは私としては、そこに人為的な要素が加わらないように、出来るだけ確実な診療を行うということである。忙しいときほど、より確実に、ていねいに、と。こうした時に不注意で何かが生じると、繁忙度がカタストロフィを招きかねない。

でも、ということは日ごろの診療で手を抜いているのか、ということにもなりかねないので、日ごろ診療においても慎重に、確実に、そして忙しい時にはより慎重に、というつもりであるが・・・。そうした時に睡眠不足や感冒による気力低下、注意力散漫が大敵である。


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さて、今日は連休。今週の連休に挟まれた診療の後始末(病名付け)をしなくては、と。そして今朝もまた起こされたけれど(2回)、この連休で芝刈りをしたいものである。

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